営業秘密の侵害(不正競争防止法)
港区麻布十番の鈴木基宏法律事務所、弁護士の鈴木です。
営業秘密は会社の重要な情報です。顧客リストや特別な技術・特許、ノウハウなどは分かりやすい営業秘密といえますが、法律は以下のように定義しています。
営業秘密(不正競争防止法第2条第6項)
「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。
この定義のとおり、
①秘密管理されている
②生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な情報
③技術上又は営業上の情報
④公然と知られていないもの
この4つの条件を満たせば、不正競争防止法の「営業秘密」として保護されるというわけです。
営業秘密の保護
この営業秘密は、法律でどのように保護されているのでしょうか。
不正競争防止法では、営業秘密に関し次のような規定があります。
(不正競争防止法第2条第1項第7号)
『この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
営業秘密を保有する事業者(以下「保有者」という。)からその営業秘密を示された場合において、不正の利益を得る目的で、又はその保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用し、又は開示する行為』
規定違反の効果
つまり、会社の営業秘密を、従業員や元従業員、下請企業などが上記の目的で使用したり開示した場合、「不正競争」を行ったとして
差し止め(同法第3条)、
損害賠償請求(同法第4条)
の対象となります。
また、営業秘密の侵害に関しては、
刑事罰(同法第21条以下)が定められています。
会社を退職した従業員や役員が、その会社の営業秘密を自らの新規ビジネスや転職先において利用するような場合、上記の不正競争にあたる可能性が高いです(但し、上記の「営業秘密」の要件に該当することが前提です。)。
会社としては秘密としての管理を徹底するとともに、営業秘密を上記の目的で利用していると認められる者に対しては、法的措置をとることを検討する必要があります。