合意管轄
契約書の最後の方に「合意管轄」という条項が設けられていることがよくあります。
合意管轄とは
訴訟を提起する際の管轄裁判所は民事訴訟法に定められており、法に定められた裁判所の管轄を法定管轄といいますが、当事者間で「法定管轄ではない裁判所で訴訟することにしましょう」とあらかじめ合意しておくのが「合意管轄」です。
合意管轄条項の留意点
この合意管轄の条項で以下のような文章をたまに見かけます。
「甲及び乙は、本契約に関して紛争が生じた場合には、●●地方裁判所を第一審の合意管轄裁判所とする。」
ですが、合意管轄といっても
① 専属的合意管轄、つまり法定管轄以外の特定の裁判所を管轄裁判所とする場合と
② 附加的合意管轄、つまり法定管轄に加えて管轄裁判所を付け加える場合
があるので、上記の文章では①と②のどちらの合意をしたのか定かではない、という事態が生じてしまいます。
このような一義的に明らかでない文章ですと、提訴時に余計な争いを招きかねませんので、合意管轄条項は①であるか、②であるかを明確にしておく必要があります。
そのためには、①の場合には「第一審の専属的合意管轄裁判所とする」、②の場合には「法定管轄裁判所に加えて附加的に第一審の合意管轄裁判所とする」と記載すべきでしょう。