退職した従業員の在籍確認
港区麻布十番の鈴木基宏法律事務所、弁護士の鈴木です。
個人情報、個人データの重要性はいうまでもなく、個人情報取扱事業者は、法の定める例外に該当しない限り、あらかじめ本人の同意を得ないで個人データを第三者へ提供することはできません(個人情報保護法第23条第1項)。
ただし、第三者に提供される個人データについて、
①本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止することとしている場合であって、
②(1)第三者への提供を利用目的とすること
(2)第三者に提供される個人データの項目
(3)第三者への提供の方法
(4)本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止すること
(5)本人の求めを受け付ける方法
について
③個人情報保護委員会規則で定めるところにより、あらかじめ本人へ通知し、又は本人が容易に知りうる状態に置いた上で、個人情報保護委員会へ届出することによって、第三者へ提供することができます(いわゆるオプトアウト、個人情報保護法第23条第2項)。
退職した従業員について、転職先の事業者や人材紹介会社などから、在籍確認や勤務成績などを照会する電話がかかってくることがありますが、個人情報に該当する事項の照会である限り、それに回答することは個人データの第三者提供に該当しますので、個人情報保護の観点から、本人の同意やオプトアウトなしに、軽々に照会に応じるべきではないと思います。
この個人情報の第三者提供については質問を受けることも多いですが、個人情報保護委員会のホームページで公開されているQ&Aで具体的な質問に対する回答が掲載されていますので(上記の退職従業員の在籍確認については、Q5-12)、判断に迷った場合には参照されると良いと思います。