不動産の賃貸人の地位の移転
港区麻布十番所在の鈴木基宏法律事務所、弁護士の鈴木です。
賃貸中の不動産の所有権が売買などにより譲渡された場合、賃貸借契約上の賃貸人の地位は、原則として(譲渡当事者間での別途合意がない限り)譲受人に移転します。
賃貸人の地位の移転に伴って、賃借人の承諾は不要です(民法第605条の3)。
賃貸借契約において敷金がある場合、敷金返還債務も譲受人に移転します(民法第605条の2第4項)。
ただし、賃貸人の地位が移転したことを賃借人が知らなければ、賃借人は地位移転日以降の賃料を譲受人の賃料口座に支払うことができませんので、譲渡人・譲受人の連名か物件の管理会社名で、賃貸人の地位の移転を賃借人に通知するのが一般的です。
通知には物件の譲渡日と変更後の賃料振込口座情報、譲渡後の譲受人の連絡先(管理会社の連絡先等)を記載します。
上記のとおり、賃貸人の地位の移転に伴って賃借人の承諾は不要なのですが、賃料支払口座の変更を賃借人が確認したことに万全を帰すために賃借人の承諾書を取得する場合もあります。
当事務所では、賃貸中の不動産の譲渡をお考えの方の法律相談に応じておりますので、法律相談をご希望の方はご連絡いただければ幸いです。