一時使用目的の借地権
港区麻布十番所在の鈴木基宏法律事務所、弁護士の鈴木基宏です。
建物所有を目的とする土地の賃貸借の場合、借地借家法の適用があり、同法により借地人は強力に保護されています。
ただし、臨時使用の設置その他一時使用のために借地権を設定したことが明らかな場合は、借地借家法の多くの規定が適用されず、通常の建物所有目的借地と比較して借地人に不利、すなわち地主にとっては有利になります(借地借家法第25条)。
特に、正当事由がなければ、借地権者からの借地契約更新請求に対して地主が異議を述べることができないとした同法第5条、第6条の適用が一時使用目的の借地権の場合には適用されない点が大きいと思います。
では、どうすればこの「一時使用目的」と認定されるのでしょうか。
契約書に「一時使用目的」と記載されていることや契約期間も重要な要素ではありますが、それだけで直ちに一時使用目的と認定されるわけではなく、土地の利用目的、地上建物の種類、設備、構造、賃貸設備等諸般の事情を考慮し、当事者間に、短期間に限り賃貸借を存続させる客観的合理的理由があることが必要とするのが判例です。
作業員の宿舎や資材置き場、スーパーの店舗などが一時使用の臨時設備とされることがあり、これらは事業用借地の対象ともなり得ますが、事業用借地として設定しなかった場合には、一時使用目的かどうかが争点となり得ます。
事業用借地としての設定をしない場合には、一時使用目的の借地と認められるかを事前に考慮した上で、設定する必要があります。