保証人に対する履行状況提供義務
港区麻布十番所在の鈴木基宏法律事務所、弁護士の鈴木です。
保証契約締結前に債務者の財産状況等について法人ではない保証人に情報を提供する義務があることは、
前回のコラム「保証人に対する情報提供義務」にて解説したとおりですが、
委託を受けて保証人が保証契約を締結した後にも、債権者は保証人に対して情報提供する義務があります。
どのような情報を提供するかというと
① 保証人から照会があった場合の、主たる債務の履行状況(民法458条の2)
② 主たる債務者が債務について期限の利益を喪失したこと(民法458条の3)
です。
特に、②の期限の利益を喪失したことについては、
債権者が主たる債務の期限の利益喪失を知ってから2ヶ月以内に保証人に通知しなければならないと民法で規定されており(民法第458条の3第2項)、
この通知を怠っていると、期限の利益を喪失した時から現にこの通知をするまでの期間分の遅延損害金を保証人に請求できなくなります。
この通知を期間内にすることを怠ると、全く遅延損害金の請求ができなくなるわけではなく、
通知をするまでの期間分の遅延損害金を請求できなくなると規定されていますので、
この期間に通知をすることをうっかり逃したとしても、早めに通知して、通知してから支払済みまでに生じる遅延損害金は確保すべきということになります。
なお、②の期限の利益を喪失したことについての情報提供義務は、保証人が法人である場合には適用されません。
ですから、債権者としては、主たる債務について期限の利益を喪失したのを知ったら、
保証人が個人である場合、直ちに(遅くとも2ヶ月以内に)保証人に通知して、
期限の利益を喪失してから生じる遅延損害金を満額保証人に対して請求できるようにすることが肝要です。