債務不履行による損害賠償と不可抗力
港区麻布十番の鈴木基宏法律事務所、弁護士の鈴木です。
契約に従って債務を履行しない又は履行することが不可能な場合、これによって契約の相手方が損害を被ったら、相手方は履行しない当事者に対して損害賠償請求が可能ですが、
損害賠償請求は
「その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。」(民法第415条第1項後段)
とされています。
つまり、債務を履行しない理由が債務者の責任とはいえないような場合は、履行しなかった債務者は損害賠償義務を負わない、ということになります。
例えば、
大震災で交通インフラがストップしてしまい契約の目的物の配送が当分の間不可能になったとか、
倉庫に保管していた目的物が落雷により破損した、というようないわゆる不可抗力による場合
が、債務者の責任とはいえないような場合の典型例です。
このような場合、契約の相手方(債権者)としては、契約に基づく自分の義務(反対給付)の履行を拒むことができますが(これを「危険負担の債務者主義」といいます)、当然にその反対給付履行の義務が消滅するわけではないため、そのような反対給付履行の義務を消滅させるためには契約を解除することが必要となります。
契約の解除については、本ホームページの別のコラム「契約の解除(民法改正)」を参照下さい。